うだ話16


     うだ話16  第7回 動物考古学研究集会

2003年11月8日、9日の第7回動物考古学研究集会に参加しました。昨年、第6回は初日にちらっと参加させていただいた後、午後は磁器の研究会、翌日は日本考古学協会奈良大会と大忙しでしたので、今回はじっくりと!未報告の資料もあり、内容は詳細にご紹介できませんが、感心した点など・・・・・。

今回は、動物考古学を専門にされている方ばかりではなく、動物生態学や料理人の方のご発表もありなかなかでした。やはり生態学なりはちゃんと把握した上で、分析考察をおこなうべきなので、参考になりました(3、4)。鯛は料理人の方が丹念に料理書を踏査して、出土遺物のあり方を考えておられるので、完全に脱帽状態です(7)。今後、こういうことがもっと発展すれば、凄いことになりそうです。

南方遺跡は今、報告書作成中とのことです。1995年に現場で拝見したことを懐かしく思いました。(ただし、私は取り上げ後に行ったので、出土状態は現地説明会資料だけでしたが・・・(泣))

さて、ここからが「うだ話」の本題。

同定、資料化という部分は、さすが専門家集団って感じでいいんですが、やはり解釈の部分がいろいろ気になりました。単独事例の場合は祭祀にむすびつけたり、解釈の幅が狭いなど。中世以降に関しては、文書、民俗例にもっとあたって様々な可能性を検討すべきでは?と思いました。近世については、動物を扱う集団がシステム化されていますので、そのシステムを理解していれば、解釈は1つしか出てこないんですが、まよっておられました。

やはり、出土していても報告されておらず、資料の数が少ないという点が一番問題ですね。類例を探そうとしても、報告書にはのっていないので、どうしても単独例で解釈してしまう。視野が狭くなる。皆さん、動物骨が出たら、少なくとも写真は掲載していただけませんでしょうか?(^^

発表等は以下のとおり。

2003.11.8(土)

1.扇崎 由(発表者)、小林園子   「岡山南方(済生会)遺跡について」
2.草原孝典   「川入遺跡の中世におけるウシ・ウマの出土例及びに鯛網漁に関する資料」
3.川原啓路   「岡山県のムササビ分布と社叢林」
4.湯浅卓雄   「岡山三大河川に分布する淡水魚の分布成立に関する研究」
5.樋泉武二   「縄文前期漁労活動の新知見−小田原市羽根尾貝塚の事例−」
6.NGUYEN VAN VIET    「ベトナム先史時代の古環境研究」
7.岡崎隆司   「鯛頭骨の解体法−調理技術的視点から−」

2003.11.9(日)

8.山崎 健(発表者)、矢部 隆、織田銑一   「愛知県中世の井戸におけるカメ遺存体の出土事例」
9.沖田絵麻   「中世における動物祭祀痕跡の一例」
10.坂平文博(発表者)、新美倫子   「遺跡出土アシカのAncient DNA分析に関する予備的研究」
11.西本豊弘(発表者)、太田敦子、浪形早季子  「小塚原遺跡の動物遺体について」
12.鵜澤和宏   「形成期アンデスにおける動物考古学研究の展開と展望」
13.津村宏臣   「先史時代パイオマス(Biomass)へのプレディクティブ・アプローチー”何を採ったか”から”何が採れたか”ヘー」

ポスターセッション
富岡直人、谷村 彩   「イノシシ頭蓋骨の形態的多様性−東北日本と西日本資料の比較分析を中心として−」
佐藤孝雄、ローレン・マークリー、和田英昭   「網走市浜藻琴神社遺跡の脊椎動物遺休」
石村 智・井上智弘   「ラピタ人の資源開発戦略の多様性:サモア・サパイ島での調 査結果と比較研究」
植月 学   「武蔵野台地北東部における縄文時代中期〜晩期の水産資 源利用」
小林園子、草原孝典   「岡山市妹尾住田遺跡の魚類遺体について」
浪形早季子   「沖縄諸島のジュゴンと人とのかかわり」
西本豊弘   「青森県東通村浜尻屋遺跡の動物遺休について」
西本豊弘、姉崎智子   「茂原市下太田貝塚の「縄文プタ」」
山根洋子   「築地外国人居留地の動物利用−ウシ切断骨の分析から−」
姉崎智子、山根洋子   「江戸時代の陸獣利用」

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