うだ話58


     うだ話58  やさしく

blogで情報発信というより、自説を展開する方々が急増しています。いろいろ読んでみて、ちょっと難しいけれども、考古学のあり方なりを理解してもらうために良い記事だと思い、周りや考古学以外の研究者に勧めていました。

その反応はというと、「用語は分からないは、何を言いたいのか分からないは、さっぱり理解できない!」でした。はじめのうちは、その内容について説明して、こんな根拠の元にこの考えをしているよ、この考え方なりについての感想は?とかやっていました。でも、これが何度も続くようになると、こちらも説明するのが面倒になり、勧めていた人たちもだんだん引いていく・・・「もういいよ!」って。

業界や歴史研究者に勧めてこの状態ですよ。一般の人が記事を読んでどう思うでしょう?「難しいことをやているんだね。」で終わればいいのですが、「なんだかトンデモないことしてない?」ととられないかと思い、ちょっと怖くなっています。「埋蔵文化財の発掘調査って、こんなトンデモない話のためにやってるの?」と言われかねない・・・。(あの事件とか、某古墳問題ですでにトンデモないと・・・。)

実際、「土器のかけら集めて、なんだか分けわからないことやっているな〜。」とよく言われますよ。時間があれば説明しますよ(こんな風に)。確認調査の現場で開発業者さんに言われると、説明する時間がありません。

公費で様々な文化財を調査するための予算確保も「やさしく」説明することが必要です。課の予算案にするにもまず説明が必要です。管理職はすべて事務職ですので。「もうちょっと分かるように説明しなさい!」と言われます。財務担当者が私たちの言うことを理解して首長に説明しないことには、議会提出の予算案にもなりません。いかに文化財保護が必要か、延々説明する。

原因者負担の発掘調査はもともとそうですね。バブル期は発掘調査があっても、その後に大きな利益があがると分かってますので、調査の必要性云々、費用よりも、「するならできるだけ早くやってくれ!」でしたので、開発者に説明する暇もなく調査突入。

しかし、それ以前と以後は違います。現地調査の土木費、航空写真測量、アルバイト賃金などなどすべてについて説明。「なんで現場にトイレがいるんだ?」なんて質問も飛び出して、「え?」と思いながら説明してましたよ。

とにかく1にも2にも説明、説明、分かるようにやさしく説明です。

昔は「よく分からんけど、役所が言ってるので仕方ないな〜!」てことがほとんどでしたが、今はこんな訳にはいきません。とことんまで話さないと調査できません。原因者負担なんてあり方でやってますので、なぜ開発者が調査費の負担しなければならないのか最後まで疑問として残りますが、大事な遺跡を壊してしまうので、調査は必要ということを開発者に何とか納得(理解はしてないかも?)してもらって調査に入っています。

分かりやすい説明をしないことには、文化財保護の費用確保は不可能です。費用がなければなにもできません。これは世間一般に言えることではないでしょうか?分かりやすく説明しないと、「もの」が売れないとか・・・。

調査成果の啓発も同じようなことがあります。この点は実践されていることが各blogで書かれていますね。

これは書いてはいけないことかもしれませんが、あえて・・・。「やさしく」によって得られた資料によって研究者の方は研究されているんですよね。だったら、その成果は「やさしく」説明される義務を持っていると思うのですが・・・。(個人の意見です、けんか売ってる訳ではありませんよ・・・。)

「やさしく書け!」と強制したように取られた様ですが、若輩の私が言ったところで無理でしょう。私はこのスタンスですとblogに書いただけです。佐原眞という大看板が、半生をかけて啓発してもだめだったんですから・・・。

直接には関係ありませんが最後に附。私は足が悪いので、都会を歩くのがとても怖いです。いたる所にちょっとした段差や階段。登りだけのエスカレーター、不便な所にあるエレベーター、駅ですが。このことは子供ができてベビーカーを押しだすとすぐに分かります。段差だらけ・・・。車いすの人は大変だと・・・。世間全ては健常者のためにある。ツールの限界がどうのこうのではなく、どんなことでも、みんなにやさしいことが必要だと思います。(「優しくも易しくも両方欲しいです。」と一般の方からご意見をいただきました。)

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