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うだ話61 中世荘園の景観−日根荘大木−
大阪歴史学会 現地見学検討会「中世荘園の景観−日根荘大木−」
日根荘南部の大木(おおぎ)地区におけるほ場整備をきっかけにして、その景観保護、文化財の調査のあり方が問題になったもの。
現地見学10:00〜12:00
検討会 13:30〜17:30 泉の森ホール大会議室検討会
開会・趣旨説明(前田徹・村井良介)1.井田寿邦氏(泉佐野の歴史と今を知る会)
「圃場整備への動き」
2.東原直明氏(泉佐野市教育委員会)
「日根野大木地区の調査報告」
3.廣田浩治氏(歴史館いずみさの)
「荘園遺跡の理念と構成」
4.海老澤衷氏(早稲田大学)
「日本的潅漑システムの特徴と荘園景観の保存」パネルディスカッション
コーディネーター 前田徹(大阪歴史学会)、村井良介(大阪歴史学会)午前の見学会は参加せずに発表を聞いた。ディスカッションも時間がおしたので退散した。発表を聞いての感想を述べる。
1はほ場整備の委員会に参加して、様々活動してみたが「日根荘」の景観を残すという意見は聞き入れられず、悔しい思いをした。しかし、今回発掘調査で明らかになった「長福寺跡(ちょうふくじあと)」が国史跡日根荘遺跡に追加指定されたことは喜ばしいことであると。経緯を細かに発表され、ご自身は複雑な思いであることを述べられた。
2は発掘調査成果については既に公表されているのでその部分は省略し、その他の調査についての説明。水利、石垣、GISを使った地理情報の取得、近代以降の文献踏査など。
中世の状況が確認された以外、ほとんどの部分は近世以降のものであり、中世の状況は判明しない。確かに開発なりの起源は中世に遡るものの、現状を「日根荘」と言っていいのか?疑問に残る発表である。
3はこれまでの荘園保存のあり方をテーマとして、理論的な点を述べる。
史跡保存技術論の先行(遺跡=保護=そのやり方議論)
遺跡概念を学問的に確立する必要
荘園遺跡は集合体に関連してはじめて十全な遺跡たり得る
個々の遺跡はたとえ国史跡であっても単体では欠陥遺跡(小山靖憲氏の言)これまでの研究・分析を理論的に結合させる。また、荘園遺跡とは中世を基点として始まる様々な遺跡の集合体であり、それには今のあり方も含まれる、また未来についても。よって、これまであるような固定化させる保護のあり方が必ずしも良いとは言えないとする。「史跡保存技術論の先行」となっている現状に「遺跡概念を学問的に確立する必要」とする。
この考えに立てば、2の調査についても意義のあるものと言えるが、発掘調査自身は中世に限ってしまっていることから、その立場には立っているとはできず、私はこの点が気になった。
4は中国他の水利のあり方と日本のあり方、日根荘のあり方について比較し、この遺跡の特殊性を述べる。
水利関係をテーマにしたCOEに関連しての話。実際、現地踏査をされているが、元資料にあたった様な感を受けず、日根荘に関しても従前の報告書からの引用。話がうまく行き過ぎて小説を聞いているような感を受けた。
この発表が無ければ、地元資料に根付いた発表と言うことで、意義あるものと感じたであろうが、最後の小説の様な発表を聞き、この参加記を書いた。どのCOEも、本当に資料にあたっているのか?これにどんな意味があるのか?、話を聞く度に腹立たしく感じる。
国なりにその様な予算があるならば、自治体に分配すべきである。その方が、資料に即した調査結果を提出できる。
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