うだ話10


     うだ話10  元企業技術者yさんからのご意見に対するお返事  

2003/3/9に「掲示板」によせられた、元企業技術者yさんからのご意見に対して、私なりのお答えです。文章を短くするために、各要点に絞っています。この後のご質問等は「会議室」にお願いいたします。

西アジア
西アジア、肥沃な三日月弧と呼ばれる地域(地中海からチグリス、ユーフラテス川までの間)における研究では、農耕が先に始まり、家畜は後とされている。先土器新石器文化期B(6,500年BC)頃、まずヤギとヒツジの家畜化が、やや遅れてウシとブタの家畜化始まったとされる。先土器新石器文化期Bの末から土器新石器文化期の初頭頃の間に家畜化がなされる。

引用:藤井純夫 2001『ムギとヒツジの考古学』世界の考古学16 同成社

WEBサイトで有益と思われる所では
「Jared Diamond "Guns, Germs and Steel" Further Readings を勝手に訳したぞ。」 4-10 章 by 平野 良貴

中国
中国においても、新石器時代に入り農耕が開始されてまもなく家畜化が開始された。 仰韶(やんしゃお)文化期(5,000年BC)にはイノシシの家畜化が開始されている。有名な半坡遺跡 では、出土したイノシシの年齢構成が幼若獣にかたよる傾向を持ち、家畜化されたためにこの年齢構成になったと結論されている。 この点は日本、池上曽根遺跡(大阪府)における家畜化の根拠にも引用されている。

さて、遺物において確認できるものに猪圏(ちょけん)がある。所謂墓に死者と共に埋納する土器(明器)であるが、漢代(200年BC)に存在する。上屋にトイレを表現し、下に塀囲、イノシシ(ブタ)を表現する。人糞を餌とする飼い方である。よって中国ではこの時期までに、人糞による飼育は確立していたことがいえる。

引用:大阪市立美術館 1999『よみがえる 漢王朝−2000年の時をこえて−』特別展示会図録
猪圏

さて、ブタ飼料
元企業技術者yさんが述べられているブタは、現在のブタの話である。 ヨークシャーやバークシャーに代表される現在のブタは、必要な肉質を得るために品種改良が極度に進んだものである。肉、ラード、ハム、ベーコンなど必要する目的のために肉質をコントロールする必要があり、それぞれ取る目的に応じて一番効率的な入手できる品種を得るための結果である。生後約7ヶ月で出荷し、目的に応じた肉質を得る、現在のブタは家畜というより、「肉工場」となっている。また、長く飼育すればグラムあたりの単価が非常に高くなる。現在のあり方をそのまま解釈すると、「ブタ→飼料がいる→飼料に回せる穀物生産があるか?→稲作が本格的に導入される(?)弥生時代までは不可能!」となる。

上記の中国の猪圏の例が示すとおり、現在のように肉質などの商品価値にこだわらなければ、人糞及び残飯で十分飼育はできる。聞き取り調査をした訳ではないが、一昨年みた中国浙江省の農村部では、村の各家々にモルタル(?)製の豚舎があり、そこに数頭の豚が飼われていた。特定の飼料を与える風でもなく、イヌと同じように残飯で飼育しているようである。一定、人間が生活できる食物さえあればブタ飼育はでき、縄文時代、弥生時代の集落規模をみると飼育は可能と考える。また、特定の場を必要としないと考える。形質的に変化する理由は存在しないのである。

うだ話7「ブタとイノシシ」での発言の目的は、動物側のあり方ばかりがクローズアップされる点、納得がいかないということである。骨格が形質的に変形するということは、現在のブタ飼育に近い集中的な育成がないと考えられない結論である。形質変化を傍証する遺構、遺物の検討がなされているかとの問題提起である。遺物論のみである結果を引き出すということはしばしばみられる手法であるが、土器などより更に遺存する確率が低い「骨」だけを用いての分析、結論付けは非常に危険ではないか、他の遺物、遺構との総体によって分析が必要ではないかという感想である。

引用:三田雅彦 他 1984『図集 家畜飼育の基礎知識』財団法人 農山漁村文化協会
   笹崎龍雄 他 1984『中国の畜産−家畜の品種を中心に−』養賢堂

以上、元企業技術者yさんへの完全なお返事になっていないかも知れませんが、これ以上書くと長くなるので、WEB上ではこれにてご勘弁の程。
・・・・ブタ飼育の説明での引用文献が古くて申し訳ございません。学生時代に購入したもので、その後の情報収集を怠っております。今後努力いたします。

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