うだ話50


     うだ話50  「聖域結界」連載 形のこころ 図像考古学の試み−1− に対するコメント

辰巳和弘「聖域結界」連載 形のこころ 図像考古学の試み−1−
『考古学ジャーナル』No.528 2005

・石室
虎塚古墳(茨城県)、大村7号横穴(熊本県)、永安寺東古墳(熊本県)、石貫ナギノ8号横穴(熊本県)、かんぶり穴2号横穴(茨城県)

石室に書かれた鋸歯文を進入しようとするモノに対しての結界とする。

・石棺
石立古墳(熊本県)、免鳥長山古墳(福井県)、丹花庵古墳(島根県)、石之室古墳(熊本県)

・玄室
中田1号横穴(福島県)、鍋田53号横穴(熊本県)、王塚古墳(福岡県)、釜尾古墳(熊本県)、チブサン古墳(熊本県)、塚坊主古墳(熊本県)、田代太田古墳(佐賀県)

石棺に示されたもの、玄室、石室形内壁に描かれたものに連続する。


地域も時代もバラバラで、石室、石棺、玄室なにもかもが一緒くたに書かれている。ここまでを読んで、「これは何なんだ?」との感想。これを学生が卒論などで取り上げた場合、たぶん「時代や地域がバラバラでまとまりを持っていない。」と指導するのではないでしょうか?指導する側がこれでいいのでしょうか?


・囲形埴輪
A型、B型
宝塚1号墳(三重県)、心合寺山古墳(大阪府)、行者塚古墳(兵庫県)、月の輪古墳(岡山県)、長瀬高浜遺跡(鳥取県)、松野遺跡(兵庫県)、古屋敷遺跡(福島県)

一定、水の祭りを行った場として認定するものの、いくつかは王権にかかわる様々なマツリゴトを執行するための「聖域」とする。


6世紀以降の古墳施設から、それよりも前の時代の埴輪に話が飛ぶ・・・。確かに三角形という点は共通するが、設置目的の違うものをいきなり結びつけてどうなるものか?


・副葬品
団子塚9号墳(静岡県)の太刀、甲冑、馬具にある三角形の飾り

除魔の仕掛け。


さらに飛ぶ・・・。


三角形という共通点ただ一点で、良くこれだけ空想がふくらむかと思わず降参しました。三角形が魔よけの意味を持っていたという点は全く証明されず、時代も地域もモノも全く関係なくつなげて行く。一体どうなっているのでしょうか?私には全く理解不能です。いくらコラム的なものとは言え、ここまで書いても良いものなのか?

魔よけとする前に、当時の人々があの形自身を三角形と認識していたのか?
鏡にある鋸歯文も結界なのか?
弥生時代の銅鐸にある鋸歯文も結界なのか?
飛鳥時代以降はどうなるのか?

この辺も書いてもらいたいものです。シリーズの様ですので、期待しつつ・・・?。



2005/4/13追記

以前にも書いたとおり<うだ話12>、あるあるだけをつないで行くと大変なことになると考えています。それと、一般の方から「野放しの推理ルール」と批判されているのですから、慎重に行動する必要があるのではないでしょうか?

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